AIチャットボットのリスクとその対応方法

2022年にOpenAI社のchatGPTが登場したことにより、世の中全体で生成AIの認知が上がり、ビジネスシーンにおいても非常に活躍が期待されています。生成AIは便利であらゆる分野での応用が見込まれていたり、さまざまなツールに利用されていたりと素晴らしい側面がフォーカスされています。

特にAIチャットボットの中でも生成AI技術を利用しているものは、さまざまなビジネス課題を解決する強力なツールとして注目されています。しかし、生成AI自体に注意しなければリスクが存在するため、AIチャットボットを利用する際にはリスクを把握し、その対応方法を実行することが大切です。

本記事では、AIチャットボットのリスクとその対応方法についてしっかりと解説していきます。

AIチャットボットのリスク

生成AI技術を利用しているAIチャットボットの代表的なリスクは、下記の3つになります。

①機密情報や個人情報の流出

世の中の多くの生成AIツールは入力されたデータをAIモデルの改良のために利用します。そのため、個人情報や機密情報を入力してしまうと他者に回答されるリスクがあります。将来的な思いがけないリスクにつながる可能性があるため慎重になる必要があります。

下記に挙げるのが、生成AIによる機密情報や個人情報が流出した事例です。

機密コードの流出

2023年3月30日、某テクノロジー企業では機密性の高い情報をChatGPTに入力してしまう事案が発生し、少なくとも3件が流出したと確認されました。

2023年3月11日に、当該企業ではChatGPTの使用を許可しました。その後20日間の間で上記の事象が発生したとのことです。流出の内訳としては設備情報が2件、会議情報が1件でした。1件目は半導体設備測定データベースのダウンロードソフトに関するエラーを解消するためにソースコードをChatGPTに入力して問い合わせたことで発生。また、コードの最適化のために歩留まりや不良設備を把握するプログラムに関するソースコードをChatGPTに入力したことでもう一件発生。

さらに、社内会議のデータをChatGPTに入力して議事録を作成したことにより3件目が発生したとのことです。これらの流出を起こしてしまった3名は全員懲戒処分を受けました。

ChatGPTは入力されたデータを学習用データとして活用する場合があります。そのため、この事例のように、ソースコードや議事録といった社内の機密情報を入力してしまうと漏洩のリスクがあります。

ChatGPTは個人利用のハードルも低く、便利ではありますがChatGPTをそのまま利用することはリスク管理は利用者自身に委ねられてしまいます。

②アカウント停止(BAN)

一般的な生成AIツールでは、公序良俗に反した使い方をしているとアカウントが停止される可能性があります。業務の一部などに生成AIツールを利用していた場合、突然アカウントが停止すると業務上の損失が大きくなるリスクがあります。

公序良俗に反する内容の代表的なものは以下になります。

違法な活動の促進

違法行為、不法な薬物や武器の製造・使用、詐欺行為の促進につながるコンテンツの作成。

NG例: ハッキング技術の解説や違法薬物の製造方法についての問い合わせ。

暴力的または不快なコンテンツ

暴力を描写または促進する内容や、過度にグロテスク、不快な内容の生成。

NG例: 暴力的な事件を詳細に描写する物語の要求。

性的な表現

成人向けの内容や露骨な性的表現を含むコンテンツの生成。

NG例: 性的行為を詳細に描写する物語や、露骨な性的描写を含む画像の要求。

児童保護

児童を性的に搾取する内容、またはそのような行為を示唆・促進するコンテンツの生成。

NG例: 児童を不適切に描写するコンテンツの生成依頼。

性的嫌がらせ

他者を不快にさせる性的な内容や、性的嫌がらせにあたる内容の生成は禁止。

NG例: 特定の個人を不快にさせる性的なメッセージの作成。

憎悪表現

人種、民族、性別、性的指向、宗教、障害などに基づく憎悪または差別を助長するコンテンツの生成。

NG例: 特定の集団に対する憎悪を煽るコメントや文章の作成依頼。

自傷行為の促進

自殺、自傷行為、またはその他有害な行動を促進、描写、または正当化するコンテンツの生成。

NG例: 自傷行為の方法や自殺についての詳細な説明を求める内容。

③事実誤認(ハルシネーション)

AIは大量のデータに基づいて学習しますが、そのデータが常に正確であるとは限りません。特に動向が激しい分野においては、AIが提供する情報が古くなっている可能性があるため情報の正確性を自身で確認することが必要です。

例えば、特に変化の激しい業界における技術的な質問をした場合などに、最新ではない情報を根拠として回答を生成してしまうなどといったことが起こり得ます。

また、ハルシネーションと言ってAIが事実に基づかない誤情報を生成するリスクもあります。ハルシネーションは元々は幻覚を意味する言葉です。ハルシネーションにも種類があり、学習データに基づいて異なった情報を生成する場合と学習データに基づかず生成する場合があります。

学習データに基づいて誤情報を生成する例

AIチャットボットに「Macの更新をする方法を教えてください」と質問した時に、正しい答えは「システム設定からソフトウェアアップデートを実行してください」などとなります。しかし、学習データに基づいて誤情報を生成してしまうと「Windowsの設定から更新とセキュリティを選び、ソフトウェアアップデートを実行してください」といった回答を生成してしまいます。

学習データに基づかず誤情報を生成する例

AIチャットボットに「社内のシステムが止まってしまったのでどうしたら良いですか?」と質問したとき、正しい答えは「システムが停止した原因を確認するためにネットワーク接続が切れていないか、サーバーがダウンしていないかを調べてください」などです。

しかし、ハルシネーションによって「システムが安定していることを確認するために、次のフルムーンまで待ちましょう。満月の夜は電磁波の影響によってシステム復旧が早くなります」と誤った答えを生成する場合があります。これは、AIがデータに基づかず空想的な回答をしてしまう例です。

こうした事実誤認は、データの品質やAIモデルやその学習プロセス、プロンプトなどに起因して生じると言われています。

Point!

・AIチャットボットは非常に便利であるがリスクがある

・リスクが原因で、企業にとって損失となる事故に繋がるケースもある

AIチャットボットのリスクへの対応方法

以上のことから、AIチャットボットの利用にはリスクがあることがわかりましたか?では、生成AIを効果的に利用しながらもリスクを抑えるにはどうしたらいいのか解説していきます。

社内でAIチャットボットを利用する際には、ビジネス利用を前提として必要なリスク対策が施されているAIチャットボットを選定することが重要になります。もちろん、従業員一人ひとりに安全な使い方を啓蒙するというやり方もありますが、その場合はリスクを避けきれない可能性があります。

ですので、入力された情報が社内利用のみに留まるよう設計されているかといった、前述したAIチャットボットのリスクを回避できる製品かを確認し、AIチャットボット選びをしましょう。

もしリスク非対応のツールを利用者が使用するなら気をつけるべきこと

リスク非対応のツールを利用する場合があった際に、利用者が気をつけるべきことについて解説していきます。まず、生成AIを利用する際には機密情報や個人情報を入力しないようにするということに気をつけましょう。社内で導入されているツールが、対策が取られているツールであれば未然に防げるケースもありますが、無料ツールを個人利用する場合などには特に細心の注意を払いましょう。

また、生成AIにより得られた回答を鵜呑みにせず、自身で正確性を確認することも大切です。前述の通り、生成AIはハルシネーションを起こすリスクがあるため自身で情報の正確性、情報の出典元を調べるといったことを意識的に行いましょう。

そして公序良俗に反する使い方をしないようにしましょう。前述の通りアカウントが停止されるリスクがあるのでふさわしい利用を心がけましょう。生成AIは動向の激しい分野であるため、利用者は意識的に情報収集を心がけて常にリテラシーを高める努力をすることも大切です。

Point!

・リスクを回避するために重要なのはリスク対策が施されたAIチャットボットを選ぶこと

・利用者がリスク非対応ツールを個人利用する際には細心の注意を払う

リスク対策が施されているAIチャットボットhelpmeee! KEIKO

helpmeee! KEIKOはバリュエンステクノロジーズが提供しているAIチャットボットです。helpmeee! KEIKOは生成AIを利用したAIチャットボットのリスクを回避する対策がしっかりと取られている製品です。

helpmeee! KEIKOは下記のリスク対策が施されています。

機密情報や個人情報の流出を防ぐ

helpmeee! KEIKO内で入力された情報はAIモデルの学習には利用されないため、社内情報を入力しても問題ありません。社内で利用するチャットボットは機密情報や個人情報を扱うことが一般的であるため、安心してお使いいただけます。

アカウント停止の心配不要

helpmeee! KEIKOでは生成前に違反行為に該当するかをAIが判断し、もし入力されても回答しないように制限します。そのため、違反行為を未然に防ぐことができ、アカウント停止の心配なく利用ができます。

事実誤認の防止対策

helpmeee! KEIKOでは生成時に参照した情報元を提示します。正確性の確認のためにリンク先を参照することを推奨します。一般的なAIツールではどのような情報を参照して回答が生成されたのかは判断がしづらく、元データを特定することが難しいです。

helpmeee! KEIKOは情報元を提示するため、利用者自身が回答の正確性を簡単に確認することができます。さらに、helpmeee! KEIKOでは社内の情報のみを参照するオプション機能があり、事実誤認のリスクをさらに抑えることができます。

生成AIを利用したAIチャットボットの利用は便利ですが、すべての製品が必ずしもリスク対策が施されているとは限りません。リスク対策が施されていない製品を利用し続けていると、ある日突然重大な事故につながる可能性もあります。

そのため、AIチャットボット導入の段階からリスクを意識した上で、リスクを回避する対策を施されている製品選びを行うことが大切です。helpmeee! KEIKOは、利用者のみなさまが安心して使えるよう設計されています。まずは無料トライアルからぜひお試しください。

Point!

・AIチャットボットhelpmeee! KEIKOはリスク対策がしっかりと施されている

まとめ

生成AI、そしてAIチャットボットはこれからのビジネスシーンに不可欠な存在となってきています。非常に便利で革新的なツールではありますがリスクを意識して利用しないと、自社の損失に繋がる可能性があります。便利に利用し、自社の生産性の向上や企業力の向上に活かすためにもリスクを理解し、リスクへの対応を適切に行うことが大切です。

そして、リスクへ対応するためにはビジネス利用を想定し、リスク対策が施されているAIチャットボット製品を選ぶことが重要です。製品にどういったリスク対策が施されているのかをしっかりと確認した上で導入に向けて動いていきましょう。

また、AIチャットボットは変化の速い分野であるため、利用者一人ひとりが日頃から自身で情報収集を心がけながら正しい使い方を心がけていきましょう。

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