情報システム部や総務・人事・経理など企業のバックオフィスには従業員からさまざまな問い合わせが寄せられます。具体的に人事なら採用・入退社の手続きや休暇申請、経理なら経費精算や年末調整、情報システム部なら社内機器やシステムの操作方法、そして総務なら備品・社内の全般的な規定等が挙げられます。社内問い合わせ対応業務 (社内ヘルプデスク業務) とは、それらの問い合わせを担当部署・担当者が直接対応する仕事です。
では、それらの問い合わせに対して十分な人的リソースの無い部門が、何の体制やルールも敷かず、マニュアルやFAQも用意せず、その問い合わせに精通した担当者が機械的に対応するとどうなるでしょうか?
おそらく、特定の部署や担当者に直接の問い合わせが集中して疲弊し、従業員は解決までに膨大な待ち時間を取られ本来の業務に影響が出る等、さまざまな問題が発生します。
こういった問題を解消する為に、社内問い合わせ対応の手法や専用のツールがあります。まずは、現状の問題点を具体的に把握する事からスタートすると良いでしょう。この記事では、社内の問い合わせを効率化する方法や各種ITツール、最近着目されているAIチャットボットについてご紹介します。
現在の問い合わせ対応業務において、従業員、担当者双方にどのような問題が発生しているのでしょうか。
業務を効率化するに当たり、改善したい事はどのような事でしょうか。
従業員側、担当者側の二つの視点で当てはまる問題点が無いか考えてみましょう。
客観的に把握できない場合は社内アンケートを取ってみると具体的に分かると思います。
・問い合わせ窓口(部署・担当者)がわからない
・FAQの場所が分からない・見つからない・探す時間が無い
・FAQの情報が古い・間違っている
・FAQの内容が難解で分からない
・FAQの内容が細かくて読む時間が無い
・担当者からの回答を待っている時間が無い
・従業員の上長は部下から同じ質問や相談を何度も受ける
・勤務シフトの違いにより、夜間・休日は担当者につながらない
・相談内容を適切に言語化できず、どのように相談したら良いか分からない
・担当者によって回答内容にばらつきがある
・担当者のレスポンスが遅い
・従業員のリテラシーが低く初歩的な質問が多い
・担当者の頭数が不足しており1人の対応範囲が広すぎる
・担当部門の範囲外の問い合わせが回ってくる
・ヘルプデスクの専任スタッフがいない・少ない
・従業員からの直接の声かけ・連絡による業務の属人化
・従業員からの同じ問い合わせに対応する事で時間を浪費する
・難易度の高い問い合わせは対応時間が長くなる
・自己解決率が低く人的対応が多い事により担当者の負担が大きい
・FAQの作成・更新をする時間が無い、追いつかない
・活用されないFAQが蓄積される
・問い合わせ対応の内容が各担当者に共有されていない
・担当者のコミュニケーション能力や自己解決力が低い
・従業員に問題の解決を急かされる
・夜間・早朝・休日の時間外に問い合わせが来る
これらの問題を、運用上の小さな工夫で効率化する方法をご案内します。
以下の施策を行う事で問い合わせの件数や対応時間は削減されます。最初のステップは対応範囲や窓口の問い合わせの方法を明確に定め、FAQを作成して公開する事です。従業員が何をどこに問い合わせたら良いのか、FAQがどこにあるのか迷いが生じないように準備を行いましょう。
担当部門がどの内容の問い合わせを受けるのか明確にして文書化して従業員に公開しましょう。
これにより相談者が問い合わせ先に迷う事が少なくなります。
また、この時に対応する時間帯まで決めておくと良いです。
例えば平日10時~19時までを受付時間とし、夜間早朝・土日祝日等の時間外は通常の窓口を閉鎖して翌営業日の対応、緊急の場合は臨時用の窓口を用意しておく等です。
問い合わせ方法が、メール・チャット・電話・口頭・掲示板への投稿等、点在すると問い合わせ対応業務が非効率になり、後々の振り返りが非常に困難になります。窓口を「メールのみ」「チャットのみ」等に一元化しましょう。
さらに、不特定多数の担当者へのDM (直接個人のアドレスに連絡) による相談は原則禁止とし、部門の共有メールアドレスや部門の共有チャンネルから問い合わせが入るようにします。
ただし、人事労務はプライベートな内容の相談を受ける事がある為、厳格なルールを作ると従業員は問い合わせがしづらくなり逆効果になる事があります。そのような場合は案件毎に担当者を定めたり、受付の担当者を定めて個人で受けるなど連絡を取りやすくする工夫も場合によっては必要です。
また、後で集計・振り返りがしやすくなるように、従業員からは電話や通話の相談を原則受けないようにし、文字ベースで相談を受けるようにします。最初にテキスト情報で相談内容を把握し、緊急度や内容に応じて担当者から従業員へ通話して詳細を把握する等の運用にすると効果的です。
もしもルールに反した問い合わせがあれば、都度本人に正しい窓口や連絡方法を伝えて、
理想的な問い合わせ方法を従業員に浸透させましょう。
ルールや体制を作っても周知ができていなければ意味がありません。例えば次のような施策が有効です。
全社員に漏れなく伝える事を目標に周知しましょう。
・全社員にメールで定期的に周知する
・ポータルサイトや社内掲示板、社内wikiなどの社内広報に掲載する
・ルールに反した問い合わせは都度、個別に正しい窓口に誘導する
・新入社員の研修資料に問い合わせ窓口ついて記載する
部内で問い合わせに対応するチームを編成しましょう。
全員で対応するのが難しい場合は月や週ごとに担当シフトを作成して運用するのが理想的です。
例えば曜日で担当者を変える場合は、月曜はAさんとBさん、火曜はCさんのみ、水曜はAさんとBさんとCさん、木曜はBさんとDさん、Eさんは問い合わせ対応を行わない、といった組み方もあります。
ヘルプデスク業務にあまり着任できない方、できるけど一定の時期に別業務で参加が難しい方、
特定の曜日・時間帯に出勤できない方、それぞれの事情を考慮してチーム編成とシフトを組んでみましょう。システムやツールを使用する必要は無く、Excel等の簡単な一覧表で十分に機能すると思われます。
さらに、問い合わせ内容から担当者を振り分ける役割の方 (一次受け・受付) を決め、
どの担当者がどの分野に精通しているのかを把握しておいて、担当者の対応状況も考慮して振り分けを行うようにすると業務の負荷分散に繋がります。
都度、従業員に1から10まで説明するのでは無く、頻度が多い問い合わせはFAQを作成して自己解決を促しましょう。また、FAQはクラウドのような従業員自身が簡単にアクセスできるような場所に保管しましょう。
記事は種類ごとにフォルダ分けしたり、索引や検索機能を付ければより従業員が該当の記事に到達しやすくなります。また、文字だけでは無く画像を用いて直感的に内容を把握できるようにしたり、
従業員の検索にヒットしやすいようにキーワードを記載するようにすると効果的です。
FAQ記事の媒体は、最も手軽なのがExcel等の表形式でQ&Aの一覧を作る事ですが、その手法だと見通しは良くなりますが、文字だけの情報の羅列だと読みづらくなり自己解決に至りづらくなります。できれば原則1つの問い合わせに対して1本のマニュアルを用意するようにし、WordなどやPDFなどの文書やノートアプリにマニュアルを書き起こし、文字の装飾や強調をはじめ、画像や図や動画など理解を促進させるメディアを適所に配置すると解決率は向上し、従業員の満足度は高まります。
また、できればFAQのアクセス履歴を取りどの記事に需要が多いのか、逆に少ないのかを把握します。
各記事に解決した/しないなどのフィードバックが受けられるようにすると振り返りがとても行いやすくなります。
問い合わせの多い分野はどの担当者でも同じ精度で対応できるように、従業員への対応方法もマニュアル化しましょう。答え方やマニュアルの場所を記載した回答のテンプレートを用意して、すぐに用いる事ができるように準備するととても効果的です。
マニュアルの作り方は前述の従業員向けのFAQと同様ですが、担当者向けのマニュアルの精度に固執しすぎた結果、本来の問い合わせ対応に時間が割けなくなると本末転倒となります。時間の都合上、文書化が難しければ、口頭で担当者へ伝達・教育する時間を設けましょう。
担当者の問い合わせ対応の内容 (従業員と担当者のやり取り) を記録して保管します。
メールやチャットツール等の履歴から、日時、従業員名、部門名、チャンネル名、問い合わせ内容、問い合わせのカテゴリー、担当者名、結果、案内したFAQ等を表に整理すると振り返りがしやすくなります。
チームで問い合わせの傾向を振り返り、問い合わせ数の多い分野はFAQを多く・最新に保つ事で
従業員の自己解決率が向上します。全ての問い合わせにFAQを準備する事は難しいので、頻度を把握して
・問題の切り分けから解決方法まですべて誘導する問い合わせ
・担当者がヒアリングして切り分け該当するFAQを案内して解決させる問い合わせ
・最後まで人的対応で解決させる問い合わせ
マニュアルによる自己解決ができなかった場合、担当者が従業員に直接対応する事となりますが、
担当部門の管理者は、直接対応するに至った経緯を把握し、その担当者の対応内容自体も振り返りましょう。以下のような観点で振り返ると効果的です。
・従業員はなぜマニュアルによる自己解決ができなかったか
・担当者の返信の遅延、返信漏れは無かったか
・担当者は問題の解決に必要以上に時間を使わなかったか
・担当者が答えられない分野の問い合わせは何か。教育の必要はあるか
・従業員は担当者の対応に満足していたか
・全体でどの分野の問い合わせが多いのか
この観点で振り返り、マニュアルの充実化や担当者の教育、従業員への再周知につなげていけば、
次のターンではより充実した問い合わせ対応が行える事でしょう。
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・社内問い合わせの効率化には、問い合わせ窓口の一元化やFAQの充実、明確な担当者体制の構築が重要です。
・問い合わせデータの蓄積と振り返りを通じて、自己解決率向上や担当者の対応精度改善を目指しましょう。
以上が効率化の方法ですが、従業員数の多い会社は問い合わせの数も比例して多くなり、担当部門のリソースが見合わない場合、地道な取り組みが十分な成果に至らないケースも発生します。どのような施策も行き詰ってしまった場合、ITベンダーが提供する専用ツールの導入を検討してみましょう。
問い合わせ対応の業務のソリューションとして、「問い合わせ管理」「ナレッジ管理」「チャットボット」の三つを軸として、多くのツールが提供されています。自社に合った製品を見極めて、さらなる業務の効率化を進めてみましょう。
問い合わせ内容を可視化して一元管理し、複数人のチームで効率的に対応する為のツールです。
以下のような機能を持つシステムが高評価で利便性が高いです。
・メールやチャット・電話・WEBフォームなど複数の経路からの問い合わせを一か所に集約できる
・問い合わせ対応のメッセージの送受信が行える
・問い合わせに対応する担当者の手動・自動アサインが行える
・問い合わせのやり取りがチケット化されて保管される
・問い合わせのステータスを管理できる
・分析機能により問い合わせ件数や担当者の対応件数の実績が把握できる
人を介さずナレッジ (FAQ)で問い合わせを自己解決するツールです。
以下のような機能を持つシステムが高評価で利便性が高いです。
・自社のナレッジを横断的に検索できる
・自然な言語でナレッジを検索できる
・ナレッジにカテゴリやタグをつけて従業員の知りたい記事に誘導できる
・画像や動画の挿入や文字の強調・装飾が柔軟にできる
・従業員の検索履歴、アクセス履歴が記録される
・従業員の解決・未解決のリアクションが受けられる
・ナレッジのピン留め、アクセスの多いナレッジ、新着のナレッジを表示できる
・分析機能によりナレッジのアクセス数や死活状況・解決率が把握できる
ロボットが従業員からのチャットの問い合わせに自動応答するツールです。
最近は生成AIを搭載したAI型のチャットボットが特に注目されています。
種類は以下に分類されます。
・シナリオ型:事前に設定された回答までのルートから選択肢を進めて回答を表示します。
・AI型:AIが質問に対してナレッジを検索し、自然な文章で回答を生成して返します。
設置の方法は以下に分類されます。
・従業員が利用する社内ポータルサイト等のWebページに設置する
・従業員が利用するチャットツール (Teams,Slack,Line) に設置する
・専用のサイトに従業員がログインして使用する
・問い合わせ対応業務の効率化に行き詰まった場合は、ITベンダーの専用ツール導入を検討しましょう。
・問い合わせ管理、ナレッジ管理、チャットボットの三軸で、業務効率化に役立つツールを見極めましょう。
「helpmeee! KEIKO」が提供するAIチャットボットはこれらの機能を多く搭載した、
オールインワンの社内問い合わせ対応ツールです。
問い合わせ管理
・問い合わせチケット管理
・担当者よる有人チャット対応
・有人対応の通知
・問い合わせ履歴を元にした担当者の返信文の提案
・問い合わせ内容の分析
ナレッジ管理
・ナレッジの作成・管理・公開
・Q&A形式、ファイル形式のナレッジの登録
・外部サービス (Sharepoint、OneDrvie、Box、Notion) 上のナレッジの利用
・社内ナレッジ・社外ナレッジ (LLM) の活用
・問い合わせ履歴を元にしたQ&Aの自動作成
・ナレッジの活用状況の分析
チャットボット
・あいまいな質問をAIが適切に解釈
・ナレッジを横断検索して生成AIが回答生成
・自動応答の解決率の分析
・チャットツール (Teams, Slack) の設置に対応
・ナレッジサイト (ブラウザで利用するチャットボット) に対応
・24時間-365日の自動応答
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→ 社内ヘルプデスク革命!AIチャットボットが変える働き方と課題
社内の問い合わせを効率化する為には、現状を把握し課題を見出す事が第一歩です。
問題点を把握したら、簡単な工夫から効率化の手法を段階的に実施し、最終的にツールが必要であれば
試用して自社に見合うかを試してみましょう。
AIチャットボット「helpmeee! KEIKO」は30日間の無料トライアルが可能です。
こちらから専用のアカウントを発行頂けます。ぜひお気軽にお試し下さい。
質問しにくい、がなくなる。チャットボットhelpmeee! KEIKOで物理的距離も社歴の差も乗り越えられる。